日本歯周病学会秋季学術大会に参加してきました。
9月22日(日)に前橋で開催された日本歯周病学会秋季学術大会に参加してきました。
今回の特別講演は「Contemporary concepts in regenerative periodontal therapy」という演題でスイス・ベルン大学のAnton Sculean教授の講演を聴講することができました。再生療法の科学的エビデンスを総括し、そのエビデンスに従ったコンセプトの臨床ケースを見ることができました。
新しい知見としては、EMDを根面に塗布する際に先に根面に血液が付着してしまうとEMDの根面への吸着が阻害されてしまうことを組織学的実験データで示していました。ただ、このようなことは以前より言われていましたし、今回はこれと言って新しい情報は無かった、というのが正直なところです・・・・。
近年のインプラント治療の発展によって、ここ10年くらい歯周病・歯周治療学に大きな変化は起こっていないように思われます。
私が大学の歯周病学教室で臨床・研究に従事していた10年間は、再生療法、歯周形成外科、全身疾患との関連、侵襲性歯周炎の発症メカニズム、細菌検査と抗菌療法などなど、歯周病学は大きな発展を遂げていた時代でした。その後、インプラント治療に世界の感心はシフトしていき、歯周病学を牽引してきた研究者・臨床家もインプラントに関する基礎的・臨床研究などへとテーマは変化していきました。(ですからインプラントに関する重要な研究の多くは歯周病学の分野から発表されています。)
そのような事から、最近の歯周病学の話題は私が大学講座に在籍していた時代と大きくは変わっていないのが現状です。
最近ではインプラントの頻用から様々なトラブルがマスコミなどでも取り上げられるようになってきており、再び「歯を残す」ということの重要性が注目されています。
歯周病学はこれからも発展の余地があると私は思っております。クラス3分岐部病変の再生療法、水平性骨吸収に対する再生療法、侵襲性歯周炎の原因と治療方法、咬合性外傷のメカニズム、新しいプラークコントロール方法などなど・・・・・。
基礎的研究に関しては大学などの研究機関に頑張ってもらい、私たち臨床家は日々の臨床でより良い結果を出していくことで歯周病・歯周治療学がより発展していけたらと感じた一日でした。