歯周病はお口のなかに常在している細菌がひきおこす病気です。さらに全身のさまざまな病気に関与することがわかってきました。
また、ヒトの身体にどのような細菌が常在するか解明しようとする「ヒトマイクロバイオームプロジェクト」によって、いわゆる悪玉菌・善玉菌がどういったものか徐々にわかってきました。歯周病菌という悪玉菌が歯周ポケット内で増えると細菌全体の毒性が強まるのです。
腸内細菌を整える目的で、乳酸菌プロバイオティクスのはいったヨーグルトや飲料をとることは一般的になってきました。乳酸菌プロバイオティクスは善玉菌としてはたらき、悪玉菌の活動を妨げます。
同じように、口腔内でも一部の乳酸菌プロバイオティクス が歯周病菌のはたらきを妨げることがわかってきました。スウェーデンで昔から研究されてきた 乳酸菌プロバイオティクス であるL.ロイテリ菌は、 腸を整える効果だけでなくアレルギーや骨密度など様々な領域で効果がることが示されてきました。
そして、このロイテリ菌が歯周病治療の効果を上げることが2013年のヨーロッパ歯周病学会誌(Journal of Clinical Periodontology)に報告されました。この研究やその後の研究からロイテリ菌が歯周病菌の増殖を阻止することが示されています。
前回のブログで述べたように、抗菌薬は歯周病菌だけでなく善玉菌にも作用してしまいます。さらには耐性菌の出現を引き起こす可能性もあるので現在では歯周病治療では用いません。
歯周病治療にとってロイテリ菌は抗菌薬より作用はマイルドですが、重篤な副作用がほとんどないと考えられています。また、全身にも良い効果があり、腸内も整えてくれます。
近年では口腔内細菌と腸内細菌が相互に作用し合っていることがわかってきています。ロイテリ菌は腸内細菌を整えることで歯周病の治癒に作用している可能性もあるかもしれません。
当院ではロイテリ菌を歯周病治療の補助にもちいています。ご興味があれば歯周病専門医までご相談ください。
バイオガイア社ロイテリ菌のホームページはこちら⇒ バイオガイアジャパン (biogaia.jp)