高田歯科医院・西多摩地区 青梅線 羽村の歯科・歯医者・歯周病専門医

西多摩地区 青梅線 羽村の歯科・歯周病専門医 髙田歯科医院 

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〒205-0011 東京都羽村市五ノ神1-6-6
歯周病治療

歯周病菌の検査

歯周病の進行に関わる細菌の種類が明らかになっています。
P. gingivalis
T. forsythensis
T. denticola

という3つの菌は、いわゆる悪玉菌と考えられています。
これらは「レッドコンプレックス」と呼ばれ、この3つの菌が検査で検出されると歯周病が進行状態にあると考えられています。
とくに、 P. gingivalis は 歯周病の進行において中心的な役割を担っています。
P. gingivalis には、遺伝子型(コロナウィルスでいう変異株)が報告されており、2型の P. gingivalis は特に病原性が強い(悪い)と考えられています。

当院においては、お口の中の唾液もしくは歯周ポケット内のプラークを採取し検査センターにPCR検査依頼をしています。
検査結果から歯周病の進行リスクをある程度予想できるので、治療方法の選択やメインテナンス内容と期間の決定に役立ってきます。
歯周病患者さんはもちろん、歯周病を予防していきたい患者さまにもぜひ検査を受けていただきたいと思います。

レッドコンプレックスという歯周病の悪玉菌を検査しています

P. gingivalis の遺伝子型を調べています

歯周病菌とたたかう乳酸菌プロバイオティクスのL.ロイテリ菌

 歯周病はお口のなかに常在している細菌がひきおこす病気です。さらに全身のさまざまな病気に関与することがわかってきました。
 また、ヒトの身体にどのような細菌が常在するか解明しようとする「ヒトマイクロバイオームプロジェクト」によって、いわゆる悪玉菌・善玉菌がどういったものか徐々にわかってきました。歯周病菌という悪玉菌が歯周ポケット内で増えると細菌全体の毒性が強まるのです。


 腸内細菌を整える目的で、乳酸菌プロバイオティクスのはいったヨーグルトや飲料をとることは一般的になってきました。乳酸菌プロバイオティクスは善玉菌としてはたらき、悪玉菌の活動を妨げます。

 同じように、口腔内でも一部の乳酸菌プロバイオティクス が歯周病菌のはたらきを妨げることがわかってきました。スウェーデンで昔から研究されてきた 乳酸菌プロバイオティクス であるL.ロイテリ菌は、 腸を整える効果だけでなくアレルギーや骨密度など様々な領域で効果がることが示されてきました。

 そして、このロイテリ菌が歯周病治療の効果を上げることが2013年のヨーロッパ歯周病学会誌(Journal of Clinical Periodontology)に報告されました。この研究やその後の研究からロイテリ菌が歯周病菌の増殖を阻止することが示されています。


 前回のブログで述べたように、抗菌薬は歯周病菌だけでなく善玉菌にも作用してしまいます。さらには耐性菌の出現を引き起こす可能性もあるので現在では歯周病治療では用いません。
 歯周病治療にとってロイテリ菌は抗菌薬より作用はマイルドですが、重篤な副作用がほとんどないと考えられています。また、全身にも良い効果があり、腸内も整えてくれます。
 近年では口腔内細菌と腸内細菌が相互に作用し合っていることがわかってきています。ロイテリ菌は腸内細菌を整えることで歯周病の治癒に作用している可能性もあるかもしれません。
 

 当院ではロイテリ菌を歯周病治療の補助にもちいています。ご興味があれば歯周病専門医までご相談ください。


 


バイオガイア社ロイテリ菌のホームページはこちら⇒ バイオガイアジャパン (biogaia.jp)

歯周病治療に抗菌薬は使いません

 口腔内細菌が原因で起こる歯周病の治療に、抗菌薬の内服は有効でしょうか?
効果はありますが、あくまでも一時的にです。
 歯周病は口腔内常在菌が原因です。成人の誰の口腔内にでも存在します。抗菌薬をもちいて減少させたとしても、また増えてきてしまうのです。
 歯周ポケットという環境があると歯周病菌が増殖し毒素を発生することで歯周病は進行します。抗菌薬の内服と同時に歯周病治療を行うことで、歯周ポケットが改善するかどうか様々な研究がなされてきました。短期的には効果があることが示唆されましたが、1年以上経過を追っていくと抗菌薬を用いないで歯周病治療をおこなった場合と同程度であることが報告されています。
 これについては日本歯周病学会のガイドラインに詳細が載っています。
guideline_perio_antibiotic_2020.pdf

 薬剤耐性(AMR)対策アクションプランをご存知でしょうか?
薬剤耐性(AMR)対策について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
抗菌薬の不正使用による耐性菌増加による問題に対しWHOをはじめとした国際的な対策が始まっています。
 このまま何も対策を取らなければ耐性菌による死者は2050年には悪性腫瘍を上回り死因1位となってしまうと考えられています。耐性菌が増え続けているのもかかわらず新たな抗菌薬の開発は進んでいません。次のパンデミックは薬剤耐性菌によるものであるとも言われています。
  

 そのような背景から、当院においても抗菌薬の使用を見直しています。慢性疾患である歯周病の治療には抗菌薬の内服は用いません。全身疾患をお持ちで歯科治療によって菌血症のリスクを持つ場合に限って処方をします。強い腫れ痛みを伴う急性炎症の場合も処方します。
 歯科ではセフェム系の抗菌薬が多く用いられてきましたが、ペニシリン系を第一選択とします。

 まだまだ改善策はあると思います。また患者さまひとりひとりの希望も踏まえながら抗菌薬のより良い使用法を模索していこうと思います。



歯周病原菌が全身の健康に関与します

 2020年からはじまったCovid-19によるパンデミックも落ち着きつつある状況です。現状、第9波に入ったと考えられていますが、大きな混乱に至らないことを願うばかりです。
 当院においても、必要な感染予防対策は続けながらもパンデミックという特別な対応を徐々に戻している状態です。
 このパンデミックを経験したことによって、みなさんの健康に対する意識は確実に高まりました。そして、全身の健康において口腔内の健康が非常に重要であることがとても注目されています。さらに、医学・医科そのものが口腔内・歯周病に注目しているのです。

 この3冊は、いずれも医学・医科の専門誌です。「医学のあゆみ」「診断と治療」は主に医科の先生や従事者が読む専門誌です。いずれも、口腔疾患や歯周病が全身疾患に及ぼす影響の最新知見が掲載されています。
  「実験医学」は主に基礎医学の研究に携わる方々が読む専門誌です。わたしも大学で研究をしていたときは良く購読していました。
  これらの専門誌が歯科・歯周病を取り上げることがとても貴重なことで、嬉しく思います。

 歯周病と全身疾患の関係はかなり古くから知られていましたが、今から20年ほど前から研究が盛んになってきました。とくにここ10年くらいの研究結果の蓄積は素晴らしいものがあります。
  1990年代からはじまった「ヒトゲノムプロジェクト」は、ヒトの遺伝子配列をすべて読むという当初の目的は2000年代初旬に達成されました。それに代わって登場したのが「ヒトマイクロバイオームプロジェクト」です。ヒトの口腔から腸へと続く消化器系や、それ以外の様々な器官には多種多様な微生物が存在します。その微生物が様々な病気の発症・進行と関わっていることから、その微生物を網羅的に解析しようという試みです。
  この解析によってわかってきたことを簡単に述べますと、「口腔内の歯周病を引き起こす細菌が血液を介して全身の病気に悪影響を及ぼしたり、腸内細菌に悪影響を及ぼすことで全身の病気に関わることがわかってきた。」ということです。

 このようなことに国・政府も注目しているようです。将来的に「国民皆歯科検診制度」を導入することによって、口腔内を健康に保つことが全身の健康に繋がり、最終的には国の医療費削減に繋がると考えているようです。

 歯周病治療と予防が、みなさまにおける全身の健康維持に貢献できるように、歯周病専門医としてお役立ちできれば幸いです。

パシフィックリムインプラントフォーラムに参加してきました

去る7月15日、沖縄那覇にて開催されたパシフィックリムインプラントフォーラムに参加してきました。
この会は私(高田貴虎)が会長を務めますスタディーグループ赤坂会と沖縄WESPICというスタディーグループとの共催で、アジアを中心に海外演者も招聘して行われるインプラントの勉強会です。
今年も、韓国から1名、アメリカから1名、日本から5名の演者によるプレゼンテーションが行われました。
今回はアメリカミシガンのジェフリージョンソン先生によるインプラント合併症のプレゼンテーションが行われたりと、非常に内容の濃い会となりました。また、国内演者のレベルも非常に高く、国内トップレベルのプレゼンテーションにより有意義な内容となりました。
懇親会では、ジェフリー先生にアメリカの歯周病・インプラント治療について直接ディスカッションできる機会があり貴重な機会となりました。
沖縄で開催されてはいるものの、一日中の講演会、終了後は懇親会なので観光はゼロです(涙)。
しかし、沖縄の空気を感じながら、沖縄の仲間との楽しい時間は明日からの診療の活力になります。今回学んだことをしっかりと診療に生かしていこうと思います。

  
ジェフリー先生のプレゼンテーション。日本人とのハーフだそうで、ラグビー日本代表のエディジョーンズ監督似で素敵な先生です。ラグビーはアメリカではマイナースポーツなので本人は知りませんでしたが(笑)。
 質問する私。沖縄の「かりゆし」ウェアがここのフォーマルです。
 総合ディスカッション。今回はインプラント周囲のティッシュマネージメントが主なテーマでした。

 

矯正専門医との連携治療

去る2月5日、わたくし高田貴虎が会長を務めさせて頂いているスタディーグループ赤坂会の2016年度第3回例会が行われました。 今回のテーマは『成人矯正Part6 アライナーVSワイヤー』という内容です。 アライナーとうのは矯正治療に用いるマウスピースのことで、近年急激に進歩している治療法です。 アライナー矯正に用いるマウスピース インビザライン社HP(http://www.invisalign.co.jp/)より引用 従来のワイヤー矯正との比較。ワイヤー装置が見えないので治療していることが他人にわかりません。   今回は日本においてこの分野における第一人者の佐本博先生(青山アール矯正歯科)をお招きし、基調講演をおこなってもらいました。 アライナー矯正の場合、歯を動かすメカニズムが異なるため、歯にかかる負担や治療結果にも影響があるとのことでした。歯の微細な動きに関してはワイヤー矯正のほうが優れているようですが、アライナー矯正の場合大臼歯を遠心(後ろ)に動かしたいケースにはかなり有効だということです。また、歯にかかる負担が少ないので根吸収が少ないということも特徴との事です。 この日の午後は、坂本紗有美先生(銀座並木通りさゆみ矯正歯科クリニック)、川崎宏一郎先生(川崎歯科・矯正歯科医院)、高井基普先生(プレミアムデンタルケア恵比寿代官山)&任剛一先生(オーラルデザイン下北沢・矯正歯科)の4名の先生方に症例発表をしていただきました。各分野のトップを走る先生方の症例にとても勉強になった一日でした。 とくに任剛一先生は私の母校である昭和大学の先輩で、素晴らしいケースに感銘を受けました。昭和大学の矯正科は日本の矯正歯科学を長きに渡ってリードしてきている名門教室です。 当院において矯正治療はとなり町の福生市にある田辺歯科医院に治療を依頼させていただいております。田辺歯科医院の副院長である田邉怜先生は昭和大学矯正学教室出身の矯正医で、わたしが最も信頼を寄せている矯正医です。症例に関して何かあれば事あるごとに診療後に直接会って症例相談をしています。矯正医との連携は、とにかくコミュニケーションをまめにとることが重要と考えています。 歯周病治療においても、歯並びや咬みあわせの改善が治療の経過に大きく影響を及ぼします。歯周病の進行によって歯が移動してしまったケースなどは矯正治療による改善が必要になります。進行した歯周病の治療では、歯並びや咬み合わせ、審美、また入れ歯やインプラントによる欠損の回復を伴う総合的な治療が必要になります。そのような治療がわたくし(高田貴虎)が最も得意としている分野であり、歯周病が進行してお悩みの患者さまは一度ご相談ください。  

部分入れ歯の症例発表 ~名古屋SJCD、大阪古希の会との合同症例検討会~

去る1月21・22日、名古屋SJCD、大阪古希の会というスタディーグループと、わたくし高田貴虎が会長を務めるスタディーグループ赤坂会(顧問:寺西邦彦先生http://www.akasakakai.com/)との合同症例検討会が開催されました。 名古屋SJCD、大阪古希の会ともに、その地域だけでなく日本の歯科界に影響を与えるような活気のあるグループです。 わたくしも『2次性咬合性外傷に対するスプリンティングとRPDによる欠損補綴を行ったフルマウスリコンストラクションケース』というタイトルで症例発表させていただきました。 3グループともにとても活気のあるグループですので、ディスカッションはとても盛り上がりました。 とくに、動揺のある歯に対するスプリンティング(連結)の考えがスタディーグループ間で異なる為に、とても深いところまで話合えたのではないかと思います。 症例発表するたびに思うのは、やはり色々な意見をもらうことによって成長があるということです。歯科医療の現場は隔離された場で行われますので、自分のやっていることが正しいのか間違っているのか分からなくなるときもあります。自身の臨床ケースを多くの優秀な先生方に見ていただき、ご意見を頂けることが最も成長できる時間となります。 とは言っても、発表は準備から当日の緊張まで含めてとてもパワーがいるので正直とっても疲れます(笑)・・・はい・・・。 以下、自分の発表の一部です。  本症例のRPD(部分入れ歯)です。スライド左側にあるような多くのステップをふんで、最高の精度の入れ歯が完成します。スタディーグループ赤坂会は部分入れ歯においても日本の歯科界をリードしてきたグループです。治療ステップは多く複雑ですが、これを正確に行える歯科医と技工師がいてこその技術です。  部分入れ歯は、鈎歯(入れ歯を支える歯)と義歯の設計が重要です。スライドに示すような、プロキシマルプレートとガイドプレーン、レストとレストシート、マイナーコネクターに対するマウスプレパレーション、これらの設計と精度があって初めて動かないよく噛める義歯が完成されます。日本トップの技工師による『匠の技』に支えられていることを実感するケースです。もちろんこれを完璧に施術できる歯科医師でないといけません。  治療前、治療後です。入れ歯の人工歯はセラミック(E-max)にて修復することで長期的に咬合の変化がないように工夫しています。 ちょっと控え目な正確と言われる私は、コマーシャルなことが大・大・大嫌いなので普段あまり大きなことは言いませんが、このような発表をしたあとはちょっと言わせてくださいね。 当院は『高度な歯周病治療から、失ってしまった歯の欠損補綴(入れ歯・ブリッジ・インプラント)までをトータルで高レベルの治療を行える数少ない医院』であると自負しています!!  最後は参加者の皆さんで浜焼きBBQで楽しい時間を過ごさせていただきました。

アメリカ歯周病学会に参加してきました。

去る9月19~22日に渡り、アメリカ・カルフォルニア州・サンフランシスコにて開催されたアメリカ歯周病学会に参加してきました。 (大会ホームページ http://www.perio.org/meetings/AM2014.htm) (アメリカ歯周病学会のホームページ http://www.perio.org/) 近年における歯周病治療の発展に貢献してきた伝統のある学会であり、今回は100回記念大会ということもあり世界中から多くの参加者が集まりました。 インプラント治療の進歩によって、歯周病の進んだ歯を抜歯せずに残す治療法の進歩はここ数年進んでいなかったのが現状です。しかし、今回の学会でも歯を残す治療法の新しい手法がいくつか紹介されており、世界的にもそのうような傾向にあるようです。 また、歯のみでなくインプラントの歯周病であるインプラント周囲炎の治療法もひとつのテーマとして扱われていました。日本と同様に、治療終了後のインプラントに問題が生じたときの治療法は注目されているようです。 また、審美性の改善を目的としておこなう歯肉退縮に対する歯肉移植術(歯周形成外科)なども注目のセッションとなっていました。この分野に関しては、アメリカ人よりも繊細なヨーロッパや手先の器用な日本人のほうが技術的に進んでいるようです。 今後も海外の学会などに参加し、世界最先端の治療を学んできたいと思っています。 IMG_3188-2 興味深かった講演のひとつ。インプラント治療の長期経過から起きた問題に対し、原因と治療法を会場の参加者にアンケートを取っているところ。スマートフォンの普及でこのような形式も今後は学会の主流になるかもしれないと感じました。もちろん内容も興味深く、骨のエイジングによってインプラントが移動するという内容です。これまで無かった概念なので、今後この分野の研究や報告がなされてくると思います。   10245492_565088430287743_5676033885876307737_n 審美性の改善のための歯周形成外科のセッション。世界的第一人者の Giovanni Zucchelli先生の講演。イタリアの先生らしく、テンションの高い講演でした。並外れた天才的なテクニックは容易に真似するべきではないと感じましたが、他の演者も含めコンセプトから学ぶことは多くありました。 10622802_565088483621071_7998149435157392248_n 日本からポスター発表をされた先生と私の同級生とともに。 10153679_565088516954401_8172633663237526971_n サンフランシスコの市内。

歯周病学会ポスター発表 in岐阜

去る5月23日24日、日本歯周病学会が岐阜にて開催されました。 10306735_510196285776958_2277560911570747441_n 今回は認定医ポスター発表を行ってきました。 重度の歯周病に対して歯周組織再生療法などをおこない歯周病の治癒後、歯周病にて動揺した歯をブリッジにて連結(歯周補綴)し、欠損を義歯にて回復した症例を報告してきました。 重度に進行した歯周病では、残存した歯と入れ歯を支える組織が乏しく、義歯の設計は非常に難しくなります。 歯周病の専門医として、さらに義歯や欠損補綴を得意とする勉強会で鍛錬してきた自身の臨床を表現できたと思います。 大学病院在籍時代から、近年の勉強会で知り合った先輩や後輩方と有意義なディスカッションをさせていただきました。 IMG_0948 発表したケースの一部。歯周病にて動揺した歯をブリッジにて連結し、そこに部分義歯を装着。欠損した前歯はもともと歯周病で骨が吸収しているため、義歯の金属部分を2重に設計し強度と安定性の獲得を図った。 IMG_0950