高田歯科医院・西多摩地区 青梅線 羽村の歯科・歯医者・歯周病専門医

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2023年

腸に到達する歯周病菌を防ぐ


日本歯科医師会が公開しているYouTubeチャンネルで閲覧できる講演です。
以下をクリックするとYouTubeサイトへ移動します。

歯と口の健康シンポジウム2023 ー腸に到達する歯周病菌を防ぐ!歯周病のリスクとオーラルケアー – YouTube


年に一回のシンポジウム講演が公開されました。
腸内細菌と口腔内細菌の関係について、歯科からは大阪大学 予防歯科学・天野 敦雄 教授、医科から内科医・桐村 里紗 先生が ディスカッションしています。

歯科医師や衛生士だけでなく、患者さまにとっても有意義な内容ですので是非一度ご覧になってください。

本当に素晴らしい内容です。内科医の目線から歯周病をどのように解釈されているのかよくわかる内容です。

歯周病が全身疾患の発症を促すことは知られていますが、それは歯周病菌やその毒素が血管を通じて全身を循環することで起こると考えられてきましたが、最近の研究でダイレクトに消化器官を通って腸内を荒らすことがわかってきました。腸内疾患だけでなく、腸内細菌の乱れが全身の健康状態に悪影響を及ぼす可能性も考えられます。

歯の痛みや咬めないといった訴えの治療が歯科医院の役割りであった時代から、全身の健康維持のための歯科医院へとシフトしていっています。

歯周病菌とたたかう乳酸菌プロバイオティクスのL.ロイテリ菌

 歯周病はお口のなかに常在している細菌がひきおこす病気です。さらに全身のさまざまな病気に関与することがわかってきました。
 また、ヒトの身体にどのような細菌が常在するか解明しようとする「ヒトマイクロバイオームプロジェクト」によって、いわゆる悪玉菌・善玉菌がどういったものか徐々にわかってきました。歯周病菌という悪玉菌が歯周ポケット内で増えると細菌全体の毒性が強まるのです。


 腸内細菌を整える目的で、乳酸菌プロバイオティクスのはいったヨーグルトや飲料をとることは一般的になってきました。乳酸菌プロバイオティクスは善玉菌としてはたらき、悪玉菌の活動を妨げます。

 同じように、口腔内でも一部の乳酸菌プロバイオティクス が歯周病菌のはたらきを妨げることがわかってきました。スウェーデンで昔から研究されてきた 乳酸菌プロバイオティクス であるL.ロイテリ菌は、 腸を整える効果だけでなくアレルギーや骨密度など様々な領域で効果がることが示されてきました。

 そして、このロイテリ菌が歯周病治療の効果を上げることが2013年のヨーロッパ歯周病学会誌(Journal of Clinical Periodontology)に報告されました。この研究やその後の研究からロイテリ菌が歯周病菌の増殖を阻止することが示されています。


 前回のブログで述べたように、抗菌薬は歯周病菌だけでなく善玉菌にも作用してしまいます。さらには耐性菌の出現を引き起こす可能性もあるので現在では歯周病治療では用いません。
 歯周病治療にとってロイテリ菌は抗菌薬より作用はマイルドですが、重篤な副作用がほとんどないと考えられています。また、全身にも良い効果があり、腸内も整えてくれます。
 近年では口腔内細菌と腸内細菌が相互に作用し合っていることがわかってきています。ロイテリ菌は腸内細菌を整えることで歯周病の治癒に作用している可能性もあるかもしれません。
 

 当院ではロイテリ菌を歯周病治療の補助にもちいています。ご興味があれば歯周病専門医までご相談ください。


 


バイオガイア社ロイテリ菌のホームページはこちら⇒ バイオガイアジャパン (biogaia.jp)

歯周病治療に抗菌薬は使いません

 口腔内細菌が原因で起こる歯周病の治療に、抗菌薬の内服は有効でしょうか?
効果はありますが、あくまでも一時的にです。
 歯周病は口腔内常在菌が原因です。成人の誰の口腔内にでも存在します。抗菌薬をもちいて減少させたとしても、また増えてきてしまうのです。
 歯周ポケットという環境があると歯周病菌が増殖し毒素を発生することで歯周病は進行します。抗菌薬の内服と同時に歯周病治療を行うことで、歯周ポケットが改善するかどうか様々な研究がなされてきました。短期的には効果があることが示唆されましたが、1年以上経過を追っていくと抗菌薬を用いないで歯周病治療をおこなった場合と同程度であることが報告されています。
 これについては日本歯周病学会のガイドラインに詳細が載っています。
guideline_perio_antibiotic_2020.pdf

 薬剤耐性(AMR)対策アクションプランをご存知でしょうか?
薬剤耐性(AMR)対策について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
抗菌薬の不正使用による耐性菌増加による問題に対しWHOをはじめとした国際的な対策が始まっています。
 このまま何も対策を取らなければ耐性菌による死者は2050年には悪性腫瘍を上回り死因1位となってしまうと考えられています。耐性菌が増え続けているのもかかわらず新たな抗菌薬の開発は進んでいません。次のパンデミックは薬剤耐性菌によるものであるとも言われています。
  

 そのような背景から、当院においても抗菌薬の使用を見直しています。慢性疾患である歯周病の治療には抗菌薬の内服は用いません。全身疾患をお持ちで歯科治療によって菌血症のリスクを持つ場合に限って処方をします。強い腫れ痛みを伴う急性炎症の場合も処方します。
 歯科ではセフェム系の抗菌薬が多く用いられてきましたが、ペニシリン系を第一選択とします。

 まだまだ改善策はあると思います。また患者さまひとりひとりの希望も踏まえながら抗菌薬のより良い使用法を模索していこうと思います。



歯周病原菌が全身の健康に関与します

 2020年からはじまったCovid-19によるパンデミックも落ち着きつつある状況です。現状、第9波に入ったと考えられていますが、大きな混乱に至らないことを願うばかりです。
 当院においても、必要な感染予防対策は続けながらもパンデミックという特別な対応を徐々に戻している状態です。
 このパンデミックを経験したことによって、みなさんの健康に対する意識は確実に高まりました。そして、全身の健康において口腔内の健康が非常に重要であることがとても注目されています。さらに、医学・医科そのものが口腔内・歯周病に注目しているのです。

 この3冊は、いずれも医学・医科の専門誌です。「医学のあゆみ」「診断と治療」は主に医科の先生や従事者が読む専門誌です。いずれも、口腔疾患や歯周病が全身疾患に及ぼす影響の最新知見が掲載されています。
  「実験医学」は主に基礎医学の研究に携わる方々が読む専門誌です。わたしも大学で研究をしていたときは良く購読していました。
  これらの専門誌が歯科・歯周病を取り上げることがとても貴重なことで、嬉しく思います。

 歯周病と全身疾患の関係はかなり古くから知られていましたが、今から20年ほど前から研究が盛んになってきました。とくにここ10年くらいの研究結果の蓄積は素晴らしいものがあります。
  1990年代からはじまった「ヒトゲノムプロジェクト」は、ヒトの遺伝子配列をすべて読むという当初の目的は2000年代初旬に達成されました。それに代わって登場したのが「ヒトマイクロバイオームプロジェクト」です。ヒトの口腔から腸へと続く消化器系や、それ以外の様々な器官には多種多様な微生物が存在します。その微生物が様々な病気の発症・進行と関わっていることから、その微生物を網羅的に解析しようという試みです。
  この解析によってわかってきたことを簡単に述べますと、「口腔内の歯周病を引き起こす細菌が血液を介して全身の病気に悪影響を及ぼしたり、腸内細菌に悪影響を及ぼすことで全身の病気に関わることがわかってきた。」ということです。

 このようなことに国・政府も注目しているようです。将来的に「国民皆歯科検診制度」を導入することによって、口腔内を健康に保つことが全身の健康に繋がり、最終的には国の医療費削減に繋がると考えているようです。

 歯周病治療と予防が、みなさまにおける全身の健康維持に貢献できるように、歯周病専門医としてお役立ちできれば幸いです。

長期症例を勉強会でプレゼンしました

 去る2023年5月14日、高田貴虎が所属するスタディーグループ赤坂会が開催されました。会場はお茶の水ソラシティにて80名ほどのメンバーが集まり症例ディスカッションを一日おこないました。

 テーマは「長期症例」ということで、私を含めて5名の先生方が10年以上の長期症例について予後を報告しました。
  私は「フルマウスリコンストラクションの10年経過症例:予後から治療計画を再考する」というテーマで報告させていただきました。
  大学病院で歯周病治療を学んだ後、自分に足りないものをさらに学び続けるためにスタディーグループ赤坂会に所属し約15年間がたちました。今回報告した症例は、まさにそこで学んで実行してきたことを振り返るよい機会となりました。
 プレゼンのディスカッションでは主宰の寺西邦彦先生はじめ多くの先生方からご意見をいただきました。正しい治療計画で遂行された治療は長期的に安定することを示すことができましたが、同時に歯ぎしりや喰いしばり(ブラキシズムといいいます)といった悪習癖から口腔内を守っていくことの困難さが明確となりました。

  新型コロナウイルスによるパンデミックにより、私にとっては約3年半ぶりのプレゼンになりました。久々のプレゼンはものすごく緊張し、準備には多くの時間とパワーをつぎ込みました。でも、やって良かったなと思います。ひとりで成長していくことは不可能です。パンデミックの経験によって、web上で講演を聴くことが容易になりましたが、やはり人と人が対面して本音で話合うことによってもっと多くのことが学べます。それが自身の症例であればもっと学べます。さらに症例に予後があればもっともっと学べるのです。その経験を自身の患者さまにおける治療に活かしていきたいなと思っています。

久々のプレゼンで緊張でしたが、
多くの先生方と貴重なディスカッションができました。